ノート
スライド ショー
アウトライン
1
LESによる海洋表層混合層
形成のシミュレーション
  • 2005年2月14日


  • 東京大学工学部システム創成学科
  • 環境・エネルギーシステムコース 4年
  • 30729 上迫 大介
  • 指導教官 : 佐藤 徹 教授
2
(発表の構成)
  • T.研究背景・研究目的
  • -- 温暖化による生態系への影響
  • -- 海洋滋養
  • U.背景理論
  • V.開いた海域における計算
  • W.閉じた海域における計算
  • X.結論
3
 
4
温暖化による海洋生態系への影響
  • 温暖化により、表層からの熱流束が増加
  • ↓
  • 表層混合層の厚さが小さくなり、温度による成層が強くなっている
  • ↓
  • 鉛直混合が小さくなり、リンの湧昇が減少
  • ↓
  • 表層の生態系に影響?
5
海洋滋養(Ocean Nourishment)
  • 栄養塩の少ない海域に、不足している栄養塩(主に窒素)を人工的に散布
  • ↓
  • 植物プランクトンによる一次生産を促進
  • ↓
  • 炭素固定・食料生産を促進
6
 
7
 
8
1-3. 研究目的

  • 「開いた海域」「閉じた海域」において…


  •  一定風速の海上風が吹いているときの、速度分布および温度分布をLESによって計算し、両海域の計算結果を比較・検討する。


9
(発表の構成)
  • T.研究背景・研究目的
  • U.背景理論
  • -- 海洋表層混合層の物理
  • V.開いた海域における計算
  • W.閉じた海域における計算
  • X.結論
10
海洋表層混合層 @
  • 海面近くの、水温や塩分がほぼ鉛直一様(→密度がほぼ鉛直一様)な層。乱流混合層とも呼ぶ。
  • 表層混合層の厚さ h は、以下のように算出することができる。
11
海洋表層混合層 A
  • Equation 2 : (海上風のエネルギーの数%)
  •  =(鉛直混合による熱膨張に伴う位置エネルギー上昇)
12
海洋表層混合層 B
13
海洋表層混合層 C
14
(発表の構成)
  • T.研究背景・研究目的
  • U.背景理論
  • V.開いた海域における計算
  • -- 計算手法(LESとその支配方程式)
  • -- 計算条件および計算領域、計算結果、考察
  • W.閉じた海域における計算
  • X.結論
15
Large Eddy Simulation (LES)
  • 計算格子幅より小さいスケールの運動は直接解析できない
  • ↓
  • LES乱流モデルで記述
  • 本研究では、スマゴリンスキーモデルを使用
16
LESの支配方程式
  • Navier-Stokes の方程式
17
計算条件
  • (初期条件) 速度 0 m s-1、 温度 5℃一定
  • (境界条件) 周期境界(x,y方向)、 自由すべり境界   (z方向上面)、 壁面境界(z方向下面)
18
計算領域 @
19
計算領域 A
20
(a)[0.1m/s, 0W/m2]の計算結果 @
21
(a)[0.1m/s, 0W/m2]の計算結果 A
22
(b)〜(e)[1m/s, 0〜240W/m2]   の計算結果 @
23
(b)〜(e)[1m/s, 0〜240W/m2]   の計算結果 A
24
(b)〜(e)[1m/s, 0〜240W/m2]   の計算結果 B
25
考察 @
  • [乱流混合層の形成まで](等温計算の場合)


  • 最初に層流として、表層付近で発達する
  • ↓ (しばらくして)
  • 乱流に遷移する
  • ↓ (比較的短時間で)
  • 乱流混合層が全域に形成される
26
考察 A
  • 熱流束が存在するときは、温度勾配による成層が形成され、鉛直混合が起こりにくい
  • ↓
  • 表層混合層の形成は見られなかった。
  • 熱流束が時間によらず一定であることが、表層混合層が形成されない原因であると考えられる。(表層から熱が流入するだけでは、鉛直混合が起こりにくい)
27
(発表の構成)
  • T.研究背景・研究目的
  • U.背景理論
  • V.開いた海域における計算
  • W.閉じた海域における計算
  • -- 計算条件および計算領域、計算結果、考察
  • X.結論
28
計算条件
  • (初期条件) 速度 0 m s-1、 温度 5℃一定
  • (境界条件) 自由すべり境界(x,y方向、およびz方向   上面)、壁面境界(z方向下面)
29
計算領域 @
30
計算領域 A
31
(f)[1m/s, 0W/m2]の計算結果 @
32
(f)[1m/s, 0W/m2]
の計算結果 A
  • 海上風によって、壁面に沿った循環流が全域にわたって形成されている
33
(g)[1m/s, 120W/m2]
の計算結果 @
  • 表層近くでは、水平方向の混合が卓越している
34
(g)[1m/s, 120W/m2]
の計算結果 A
35
(g)[1m/s, 120W/m2]
の計算結果 B
  • 表層では、鉛直方向の混合はほとんど起こらず
  • (←強い温度成層の影響)
36
考察
  • 「閉じた海域」の場合、流れが壁面によって抑えられるため、海上風によるせん断力の影響が非常に伝わりにくい。


  • ([cf.] 単位体積あたりの運動エネルギーの計算)




  • (d)[1m/s、120W/m2、Open]   : 1.4 [J/m3]
  • (g)[1m/s、120W/m2、Closed] : 1.5×10-5 [J/m3]


  • 鉛直混合が起こりにくいため、温度による成層が発達しやすい。


37
(発表の構成)
  • T.研究背景・研究目的
  • U.背景理論
  • V.開いた海域における計算
  • W.閉じた海域における計算
  • X.結論


38
結論 @
  • 「閉じた海域」と「開いた海域」について、海上風速、熱流束などの条件を変えながら、速度分布や温度分布の変化を見た。


  • 本研究では、明確な表層混合層は形成されなかったものの、次のようなことが分かった。
39
結論 A
  • [等温計算の場合]
  • 「開いた海域」では全域的に乱流混合層が発達するが、「閉じた海域」では壁面に沿った、鉛直方向の循環流が発生する。


  • [一定熱流束での計算の場合]
  • 乱流による鉛直混合は両者ともに起こらず、温度成層が発達する。特に「閉じた海域」では、強い成層が発達し、表層の薄い層とその下層とで分断した流れになっている。
40
結論 B
  • [マクロコスモスでの実験に向けて]
  • 「閉じた海域」の温度成層を壊し、流体に運動エネルギーを与えるため、鉛直混合を人工的に起こすことが必要である。


  • [今後の課題]
  • 昼夜を考慮し、熱流束の出入りを時間的に変化させるような計算を行うことで、表層混合層の形成をシミュレーションできるものと思われる。
41
(補足)
  • 卒業論文には間に合いませんでしたが…


42
"The END"

  • The END